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「どこでもドア」が市販化されたら、いくらで買う?

30代~40代男女500人に聞いた「実現してほしいドラえもんのひみつ道具」

 ■3つの中で、最も実現する可能性があるのは?

『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』(2017年公開作品)*写真は編集部私物

 2017年3月に公開された『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』の公開を記念し、バンダイナムコエンターテインメントが制作した『ドラえもんVR「どこでもドア」』は、VRゴーグルと体感マシンで「どこでもドアの世界観を体感できる!」と大きな話題となった(のび太の部屋から映画の舞台である南極へ行くことができ、行程の前後にはドラえもんも登場した)。しかし「世界観」は限りなくリアルに近づけられても、「世界そのものを変更」することは理論上、限りなく難しいようだ。

 順に追ってみよう。まずはどこでもドア。ここでヒントになるのが、2015年にアメリカの国立標準技術研究所(NIST)が発表した、光ファイバーを用いた100km先への「量子テレポーテーション」の成功、というニュースだ。当時、「この理論を使えば、どこでもドアが実現するのでは?」と一部で話題にもなった。しかし、理論の詳細はここでは省くが、簡単にいうとこれは「物体を一旦して量子化してテレボーテーションする」技術のため、一旦私たちは量子レベルまで破壊、分解され、移動先に転送された結果、再構築される必要がある。そうなったとき、再構築された私たちは破壊される前の私たちと物質としては同じでも、人間としてはどうなのか?という問題がおき、これはもう哲学レベルの話にもなってくる。結論から言うと「生身の人間がそのまま瞬間移動する」というのは、現在発表されている技術レベルでは限りなく難しいようだ。

 続いて、タイムマシン。こちらも長きにわたり「宇宙人いる、いない」と同じように延々議論されているテーマなのであるが、ここに興味深い記事がある。雑誌『AERA』2016年1月11日号によると、宇宙物理学の権威である佐藤勝彦東京大学名誉教授の発言として「未来に行くのは簡単。光速に近いスピードで動く乗り物さえ開発すればいいのですから。でも、過去に行くのは難しい」とのコメントを紹介している。ではどれぐらいスピードが必要なのかというと「新幹線に乗って東京から博多まで1200キロを移動すると、10 億分の1秒だけ未来に行くことができます」とのことで、これまた気の遠くなるような技術的な壁にぶち当たる。「1000万円で買った自家用タイムマシンで時間旅行」は、とりあえず私たちが生きている間には実現しなさそうだ。

 最後に、最も難しいであろう、もしもボックス。物理学においては並行宇宙の存在は考えられており、パラレルワールドとして現実とは違う世界はありえない話ではないが、今ある世界をまるっきり変えてしまう、となると理論的に不可能だろう。ただ、「誰かの一言でその瞬間、世界が激変する」という点だけを考えると、情報化社会においては全くありえない話ではない。その意味ではもしかすると、どこでもドアやタイムマシンよりも簡単に実現してしまうかもしれず…これまたちょっとホラーな話でもある。

 いずれにせよ、子どもの頃夢中になったドラえもんの「ひみつ道具」は、私たちの当時の想像とは違う形で、少しずつ現実のものとなっている。スマホやVRが出てきたときようなブレイクスルーがいつまた起こるのか。その日を楽しみにして待ちたい。

 

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